★中国共産党、次の「正統性」は、「○○国家」

 

全世界のRPE読者の皆さま、こんにちは!

北野です。


日本人は、概して習近平さんが嫌いです。

わかります。

なんといっても、「日本に沖縄の領有権はない!」と宣言している
国のトップですから。


そうなのですが、それと、「彼が有能かどうか?」という話は別です。

2015、2016年、習さんは、かなり追いつめられていました。

「AIIIB事件」でオバマが、中国の影響力の強さを知った。

それで、中国バッシングをはじめたからです。

中国経済もボロボロになってしまった。


しかし、2017年、習近平は反撃にでました。

1月、ダボス会議で、「グローバリズム絶対支持宣言」をした。

さらに、「核兵器のない世界をつくる!」宣言。

「パリ協定絶対支持!」宣言。


彼は、グローバリストたちと和解し、中国経済も少しよくなって
きた。


最近、世界が心配しているのは、「朝鮮戦争」です。

習近平は12日、トランプと電話会談した。

そして、「自制を呼びかけた」というのです。


世界的に見ると、「アグレッシブなトランプと金正恩」。

「自制を呼びかけ、平和を愛する習近平」という構図。


もちろん裏の事情を知っている人は、笑います。

というのも、北朝鮮貿易の90%は、対中国である。

つまり、金体制を存続させ、核兵器開発を継続させているのは、
事実上中国なのですから。


とはいえ世界の大衆は、そんなこと知りません。

表面で起こっていることだけみて、


「トランプ、落ちつけ!」

習近平、大人!」


などと思っている。

しかし・・・。

 

▼避けられない国家ライフサイクル

 

習近平がいくら狡猾でうまく立ち回っていても、決して避けるこ
とのできない問題があります。

なんでしょうか?


「国家ライフサイクルで、中国は成熟期にむかっている」


という問題。

復習しましょう。

ある国は、混乱期・移行期にある。

二つの条件が整うと、成長期に入ります。


1、政治が安定する

2、指導者が正しい経済政策を行う


この国は、「安い労働力」を武器に、「安い製品」をつくること
で、急成長していく。(成長期前期)


しかし、経済が成長すると、必然的に人件費が上がっていき
ます。

そして、成長期の後期に入ると、この国で生産するメリットが
徐々に薄れ、企業が外国に出ていってしまう。

それで、成長は、必然的に鈍化していきます。


中国は、ざっくり1980年から成長期に入りました。

1990年代、「安かろう悪かろう」で急成長した。

2000年代、「世界の工場」になった。

2010年代、「中国は世界一になる」といわれている。

この国は、すでに成長期後期の終わりに近づいている。

2020年代は、日本の1990年代に匹敵する。

つまり、これから中国を待ち受けているのは、「暗黒の10年、
20年」ということになる。


私がこの話をしたのは、2005年発売の「ボロボロになった覇
権国家」の中でした。

以後、12年間同じことを書きつづけてきましたが、予測を変
える必要は感じません。

まさにそのごとく動いています。

 

▼揺らぐ「正統性」

 

日本では、いま「自民党」が政権にあります。

しかし、その前は、民主党政権でした。

その前をみると、たとえば

日本新党の細川さん、新生党の羽田さん、社会党の村山さんな
どが総理だったこともある。

そう、日本では、時々政権がかわります。


しかし、中国は、オフィシャルに「共産党一党独裁国家」である。

だから政権はかわりません。

ただ、共産党のトップがかわるだけです。


世界的には「異常」な体制ですが、それでもこれまであまり問題は
なかった。

まず第1に、共産党毛沢東が「中華人民共和国を創った」という
正統性があった。

トウ小平の時代からは、「共産党のおかげで、中国経済は世界一
急成長している」という正統性ができた。


しかし、中国経済は、「国家ライフサイクル」に従って成長が鈍化
しています。

そして、これからますます成長が難しくなっていくのは確実。

つまり、「共産党のおかげで経済成長神話」が崩壊していく。

「正統性」が揺らいでいく。

こんな流れの中、習近平は、どうやって「正統性」を確保するので
しょうか?

 

習近平は、「安全国家」をつくる

 

先日、水野和夫先生のベストセラー


●「閉じてゆく帝国と逆説の21世紀経済」

(詳細は→ http://amzn.to/2w1B6I4 )


を読んでいました。


・なぜ資本主義は終わるのか?

・資本主義が終わるとどうなるのか?

・日本はどうすればいいのか?


といった話をされています。

この本の中に、「安全国家」という話が出てくるのです。


「安全国家」


いい響きですね~~。

「安全な国なのかな?」と。

しかし、水野先生は、「ネガティブな意味」でこの用語を使ってお
られます。

 

<「安全国家」とは何でしょうか。

そこには国家と恐怖の驚くべき逆転があります。>(86p)


<トマス・ホップス(一五八八~一六七九年)の「リヴァイアサン

では、万人の万人に対する闘争がもたらす恐怖を終わらせるた
めに国家が登場しました。>(同上)


人間は、無法状態で自然にさせておいたら、ケンカをするように
なる。

その「恐怖を終わらせるために」国家が登場したと。

 

<ところが「安全国家」ではその図式が逆転し、

恐怖を維持することが目的化します。

なぜなら、

「国家は恐怖からその本質的機能と正統性を引き出しているから」

です。>(87p)

 

そうか、「国家は恐怖から正統性を引き出せる」のですね。

水野先生は、最近の日本やフランスの例をあげて、「安全国家にむ
かっている」という話をされています。


しかし、読みながら、習近平さんの笑顔が私の脳に浮かびました。

毛沢東は、「建国」で「正統性」を得た。

トウ小平江沢民胡錦涛は、「世界一の経済成長」という「正統
性」を得た。


しかし、「世界一の経済成長」が不可能になった今、習近平は、


「安全国家」


をつくることで、「正統性」を維持しようとするのでしょう。

そのとき「ダシ」に使われるのは、アメリカであり、日本であるこ
とでしょう。


そう、習近平の正統性は、「安全国家」です。

「安全国家」維持に必要なのは、「恐怖」です。

「恐怖」を維持するためには、「敵」が必要。

中国の「敵」は、「中国の体制崩壊を狙うアメリカ」

「再び軍国主義にむかう日本」

などでしょう。(中国から見たらです。念のため)