フレブル君日記

フレブルはゆるいよ

◆阿比留瑠比『総理の誕生』を読み解く

筆者は産経新聞の記者であり、論説委員

※要旨


・新聞各紙には、首相動静の記事が載っている。
この欄をチェックすると、首相がその時々でどんな人物に
どのくらいの頻度と長さで時間を割くか、
つまりどの程度重視しているかが分かるため、
永田町の政治家や霞が関の官僚たちの閲覧率は高い。


・2012年末の第二次安倍政権発足以降、
計5回にわたり、アメリカのシンクタンクである
戦略国際問題研究所(CSIS)の上級研究員の
エドワード・ルトワックと昼食をともにするなど会談している。


・世界的な戦略家であり、
歴史家や経済学者の顔も持つルトワックだが、現在は民間人である。
にもかかわらず、会談が5度にわたっている事実は、
安倍が国際戦略に関するルトワックとの会話を楽しみ、
有意義だと思っているからだろう。


・2人の会談に同席した外務官僚によると、
ルトワックはこう語った。
「私は安倍にいろいろな話をした。
中国の国家主席習近平についても、
インド首相のモディについてもレクチャーしたが、安倍は全部分かっていた。
安倍に教えることは何もない。
彼はおそらく学問的に戦略論を系統的に学んだわけではないだろうが、
生まれついての戦略家だ」


・この外務官僚が、
「生まれついての戦略家というと、ほかには誰がいるのか」
と尋ねると、ルトワックは少し考えてこう言った。
「英国のウィンストン・チャーチルがいる」


・2015年8月14日、戦後70年に関する「安倍談話」を発表した。
「これでもう戦後80年談話、90年談話は必要ない」
こう語った安倍は、
のちにベトナム政府のある高官から
「この談話を読んで評価をしないようなアジアの国があったら、まともではない」
とも称賛された。


・安倍談話の背景について
安倍のスピーチライターの内閣官房参与谷口智彦は言う。
「安倍首相の近現代史に関する記憶力はすごい。
首相にとって日本の近現代史は、
他人事ではなく自分の家族の歴史でもある」


・永田町もマスコミ界も、
長年にわたり左派・リベラル派が支配権を握り、
保守派を無視し、蔑視してきた。
そんな中にあって安倍は自分たちがマイナーであることを知りつつ、
メジャー側の防波堤にこつこつと穴を穿ち、
今の地位を築いたのだと考えている。


・今でこそ自民党は「安倍一強」「官高党低」と指摘され、
安倍の「意向」は「威光」となって党を従えているように言われているが、
もともと安倍は主流派でも何でもなく、
むしろ党内にあっては異端だった。


・筆者は1998年に産経新聞政治部に配属された直後から
今日まで18年間、一人の記者としてずっと安倍をウォッチし続けてきた。
安倍が森・小泉内閣官房副長官だったころは、
番記者として直接、安倍の担当だったこともある。
だが、担当を外れてもさまざまな形で取材を続け、
また意見交換や雑談などで肉声を聞いてきた。


・一記者として、安倍は常に強い興味を呼び起こし、
その動向から目を離せない政界でも独特な存在だったし、
一人の国民として特に歴史認識問題や
外交安全保障問題で期待と共感を寄せてきた。


・本書では、安倍が無役で目立たない若手議員だった頃から、
私が直接安倍と話をし、また見聞きし、現場で体験し、
考えてきたことをそのまま記すことに力点を置いた。


・安倍は、実は出世は遅かった。


・1993年の初当選前から安倍の秘められた苦闘を知る
元秘書の天川は、そう生易しい道程ではなかったと話す。
「みんな、安倍さんは銀の匙をくわえて生まれてきただとか、
地盤、看板に不自由しなかったから順調に出世したなどというが、
安倍さんがやってきたことは並大抵の努力じゃない。
すごいハンディキャップがあった」


・安倍は、初当選から、同期の仲間たちが
政府のポストを与えられていく中で、
安倍は独り取り残された感があった。
この頃、私は事務所で、安倍がこんな風に不平を漏らすのを聞いた。

「ここまで外されてきたんだから、もう開き直った。
こうなったら、(第一希望の)外務政務次官以外だったら、話が来ても受けない」


・安倍が政府の役職に就くのは、
2000年の第二次森内閣官房副長官に登用されたのが初めてだった。
実に初当選から7年もかかっている。
ただ、政府に入るのは同期で最も後れたものの、
官房副長官政務次官より格上のポストであり、
もとより安倍に文句はなかった。


・そして官房副長官となるや、持ち前の発信力と
ぶれない芯の太い発言でたちまち脚光を浴び、頭角を現していく。
その足場をつくり、後の飛躍の下地となったのが、
それまでの7年間、地道に誰よりも熱心に取り組んできた
外交・安全保障、教育、拉致問題などにかかわる保守系の諸活動だった。


・まったくと言っていいほど、「ぶれない」ことが、
安倍という政治家の特徴である。

 

・2012年の自民党総裁選に出た前後、
会合の挨拶などでよくこんなことを述べていた。
「日本中から『お前はダメだ』という烙印を押され、地獄を見てきた」

誰も安倍の復活を予想も期待もしないどん底で、
地獄を見つめながら再起を期してきたことがうかがえる。
いったん退陣後に再び首相となるのは64年ぶり、
吉田茂以来の壮挙だったが、
そこに至る道はひたすら険しく長かった。


・第一次安倍政権の退陣後1か月たったころ、
安倍がふとこう言った。

「本当の敵が誰で、誰が本当の味方なのかが今回、よく分かったよ」

具体的な名前は一つも挙げなかったが、
安倍がその一人ひとりのことを決して忘れないであろうことは伝わってきた。
政治家は政局、つまり権力闘争を仕掛けた相手のことは
間違いなく覚えている。


・安倍が茨の道を覚悟の上で首相再登板を目指したのも、
盟友・中川昭一の死去と無縁ではあるまい。
自身の退陣後、まるで衰退期に入ったかのような
保守勢力の再生を託すべき友を失った安倍は、
再び自ら立つしかないと思い定めたのではないか。


・中川の他界から3年後の2012年9月の
自民党総裁選を迎えるに当たり、
安倍は議員会館の事務所に幕末の志士、高杉晋作
決起を決意した際の次の言葉を掲げた。


「邦家の為に正義を起こさんことを要す

 雲となり雨となり天地を揺るがさんとす」

 

 

※コメント
安倍総理の長年の歴史がよくわかる。
内部情報も豊富であり、
読み応えがある。

 


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