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フレブル君日記

フレブルはゆるいよ

【RPE】★米英の「特別な関係」は、なぜ復活するのか???

全世界のRPE読者の皆さま、こんにちは!

北野です。

 

オバマ大統領の時代、アメリカと伝統的な親米国家、同盟国の

関係が破壊されました。

たとえば、アメリカとイスラエル、アメリカとサウジアラビア

これらの関係は、主にオバマがイランと「核合意」し、和解し
たことで悪化したのです。

しかし、もっとも衝撃的だったのは、「特別な関係」といわれ

アメリカとイギリスの関係が、「最悪」になったことでしょう。

 

▼イギリスは、3度アメリカを裏切る

 

原因は、主にイギリスにありました。

イギリスは、少なくとも3回、アメリカを裏切っています。


1回目の裏切り。

2013年8月、オバマは、「アサド軍が化学兵器を使った」とし、
「シリアを攻撃する!」と戦争開始宣言をしました。

イギリスとフランスもこれに同調していた。

しかし、イギリス議会がこの戦争に反対した。

アメリカは孤立し、「シリア戦争」を開始することができなく
なりました。

2013年9月、オバマは戦争を「ドタキャン」。

結果、「史上最弱の大統領」と呼ばれることになります。


2回目の裏切り。

イギリスが2回目に裏切ったのは、2015年3月のこと。

そう、先頭を切って、中国主導「AIIB」への参加を決めた。

この時アメリカは、イギリスに「入るなよ!」と要求していた。

ところが、イギリスは、オバマの制止を完全に無視したのです。

イギリスが「AIIB参加」を表明すると、他の親米国家もこれに
つづきました。

フランス、ドイツ、イタリア、オーストラリア、イスラエル
韓国などなど。

これらの国は、「アメリカを無視して」「中国のいうことを聞
いた」。

「AIIB事件」は、「アメリカの弱体化」と「中国の影響力の強
さ」を示す「歴史的大事件」でした。

そして、イギリスの裏切りが、「歴史的大事件」を引き起こし
たのです。


3回目の裏切り。

2015年11月、人民元が、IMF・SDR構成通貨に採用された件。

これも、イギリスが積極的に支持したのです。


こうして、アメリカとイギリスの「特別な関係」は破壊されま
した。


ところで、なぜイギリスは、アメリカを裏切ったのでしょうか?

2回目(AIIB事件)、3回目(人民元SDR構成通貨入り)を見ると、


イギリスは、中国の国益を後押ししている
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

ことがはっきりわかります。

そう、イギリスは、「チャイナマネー」でアメリカを裏切った。


米英関係が最悪になる中、英中関係は2015年10月の習近平訪英以後、


「黄金時代」 


と呼ばれていたのです。


イギリスは、アメリカを裏切り、中国についた。

 

▼冷める英中関係

 

ところが、英中の「黄金時代」は、長くつづきませんでした。


まず、中国経済が急激に失速したので、「チャイナマネー」
の魅力が薄れてきた。

一方で、中国がイギリスを見捨てる大きな理由がでてきま
した。

イギリスが「EU離脱」を決めたこと。

ブルームバーグ、2016年6月28日付を見てみましょう。


<習主席とキャメロン首相の友情、無駄に-中国が失った最良パ
ートナー

Bloomberg 6月28日(火)11時2分配信

中国の習近平国家主席が英サッカークラブ「マンチェスター・シ
ティ」のスター選手と自撮りに興じ、バッキンガム宮殿での晩さ
ん会に招かれ、イングリッシュパブでビールを楽しんだのは、わ
ずか8カ月前のことだった。

エリザベス女王は習主席の訪英を高く評価。

習主席とキャメロン英首相は両国関係の「黄金時代」の到来を示
し、

英国は中国の「欧米における最良のパートナー」としての地位を
築いた。

習主席はシェークスピアを引用し、中国が欧州連合(EU)との
関係を深める上での英国の「積極的な役割」を力説した。 >

 


イギリスと中国は、「黄金時代」だそうです。

そして、最後の一文


<習主席はシェークスピアを引用し、中国が欧州連合(EU)
との関係を深める上での英国の「積極的な役割」を力説した。 >


がとても大事ですね。

中国にとってイギリスの「役割」は、「中国とEUの関係を深
めること」。

イギリスがEUから離脱したら、その役割を果たせなくなりま
す。


これから、イギリスと中国の関係はどうなっていくのでしょ
うか?


<北京外国語大学の謝韜教授(政治学)は「中国が英国との関係
を非常に重視してきた大きな理由は、

英国を通してEUの政策に影響を与えることにあった」

と指摘。

欧州への「橋頭堡(ほ)」としての英国の価値はEU離脱で失わ
れたとし、中国は今後ドイツとの関係に集中することになろうと
予想した。>(同上)


短いコメントですが、非常に重要な点が三つあります。


1、「中国が英国との関係を非常に重視してきた大きな理由は、
英国を通してEUの政策に影響を与えることにあった」

2、欧州への「橋頭堡(ほ)」としての英国の価値はEU離脱
で失われた

3、中国は今後ドイツとの関係に集中することになる


要するに、中国はイギリスを捨て、欧州ではドイツを最重要視
するようになると。


こうして、英中の短い「黄金時代」は終わったのです。

 

▼トランプは、米英の「特別な関係」を復活させる

 

ブレグジットは、中国を落胆させ、中英関係を破壊する。

しかし、トランプ・アメリカにとって、イギリスがEUと切れる
ことは、とてもよいことです。

なぜか?

EUは、エマニュエル・トッドさんがいうように事実上の


ドイツ帝国


になっている。

EUを「ドイツ帝国」と見ると、アメリカと「ドイツ帝国」の経
済規模はほぼ同じで、人口は「ドイツ帝国」の方が多い。

だから、「EU(=ドイツ帝国)弱体化」は、トランプ・アメリ
カの国益にかなっています。

(EU内でGDP2位のイギリスが抜けることで、EUの経済規模は、
かなり縮小します。)


そして、「ブレグジット」は、「グローバリズムからナショナ
リズムへ」という時流に沿っている。

世界的に見ると、「ブレグジット」と「トランプ大統領誕生」
は、同じ時流の中で起こったのです。

だから、トランプにとって、イギリスは「同志」である。


さて、トランプは1月27日、イギリスのメイ首相と会談しまし
た。

毎日新聞1月28日を見てみましょう。


<トランプ米大統領とメイ英首相は27日、ホワイトハウスで会
談し、英国の欧州連合(EU)離脱をにらみ、2国間の貿易協定
締結に向けて協議することで一致した。

大統領就任後、トランプ氏が外国首脳と会談したのは初めて。>

 

<大統領就任後、トランプ氏が外国首脳と会談したのは初めて。>


ここ、大事ですね。

やはり、「重視している国の首脳」とは「早く会いたい」と思い
ます。

 

<会談後の記者会見で、トランプ氏は「英国との深いつながりを
新たにする日だ」と指摘し、

メイ氏も「(就任直後の)招待は特別な両国関係の証拠だ」と強
調。

両首脳とも米英の「特別な関係」を内外にアピールした。

トランプ氏はエリザベス英女王からの年内訪英招請も承諾した。>

(同上)


メイさんは、壊れていた「特別な関係」が健在であることを、世
界に示した。

EUから離れたので、アメリカに擦り寄らなればならない事情もあ
りますが。

 

<トランプ氏は、英国のEU離脱について「素晴らしい出来事に
なる」と改めて称賛。

両首脳は英国への最大の投資国が米国であることを念頭に、通商
関係の強化を確認した。>

(同上)


EU離脱は、素晴らしい出来事」だそうです。

確かにアメリカにとっては、「素晴らしい出来事」ですね。

なんといってもイギリスが、EUや中国から離れてアメリカに戻っ
てきたのですから。

 

<またメイ氏は、トランプ氏が北大西洋条約機構NATO、加
盟28カ国)を「100%支持する」と会談で述べたことを明ら
かにした。>

(同上)


これは、なんでしょうか?

欧州は、二重支配構造になっています。

つまり、ドイツは、EUを通して、欧州を【経済】支配する。

アメリカは、NATOを通して、欧州を【軍事】的に支配する。


だから、イギリスをEUから切り離し、ドイツを弱体化させる。

そして、NATOを通して軍事的支配を強化する。

これが、トランプ・アメリカの国益です。


というわけで、再びアメリカとイギリスが接近しています。

結果、イギリスと中国をさらに遠ざけるでしょうから、日本
にとってはよいことなのです。

 

「イギリス社会」入門―日本人に伝えたい本当の英国 (NHK出版新書 354)

「イギリス社会」入門―日本人に伝えたい本当の英国 (NHK出版新書 354)