フレブル君日記

フレブルはゆるいよ

★ソロスは、トランプをどう見ているか?

全世界のRPE読者の皆さま、こんにちは!

北野です。


まず、お知らせから。


●トランプ外交の基軸とは?

ダイヤモンドオンラインさんで詳述しています。

まだの方は、是非ご一読ください。

http://diamond.jp/articles/-/115034
(●スマホ、ケータイで見れない方は、PCで試してください。)


では、本題。

私は、いつもジョージ・ソロスの発言に注目しています。

世界で23番目の金持ち(フォーブス誌2016年)であるソロス
の発言は、まず、よく当たります。

次に、彼の発言自体に、「事実をつくる力」がある。

つまり、ソロスが「○○国はヤバいよ」といえば、世界中の
投資家が、「ヤバいらしいよ」と考え、逃げはじめる。

それまで○○国はヤバくなかったかもしれませんが、ソロス
の一言が現実を創ってしまった。


そんなソロスは、トランプ新大統領について、なんといって
いるのでしょうか?

 

▼反ブッシュ(子)としてのソロス

 

その前に、ソロスが過去に何をいったか振り返ってみましょう。

まずソロスは、真正の「グローバリスト」で「ナショナリズム
を嫌悪しています。


それで、「アメリカ一極支配体制構築」を目指したブッシュ(子)
政権を嫌悪していました。

彼は、イラク戦争がはじまった翌04年、「ブッシュへの宣戦布告」
という本を出版しています。

この本の中で、ソロスは、「アメリカの没落」を明確に予測して
いました。


<先制軍事行動を唱えるブッシュ・ドクトリンを私は有害だと思
っている。>(1p)

<アメリカの単独覇権というブッシュの夢は、達成不可能である
ばかりか、アメリカがその伝統として唱えてきた理念と矛盾する
ものである。>(同前2p)

<アメリカは今日の世界で、他のどの国家も、またどの国家連合
も、当分は対抗できそうもない支配的な地位を占めている。

アメリカがその地位を失うとすれば、それは唯一、自らの誤りに
よってだろう。

ところが、アメリカは今まさに、そうした誤りを犯しているので
ある。>(同前)


どうですか、これ?


「アメリカがその地位を失うとすれば、それは唯一、自らの誤り
によってだろう。」

「アメリカは今まさに、そうした誤りを犯している」


つまりソロスは、「イラク戦争は誤りで、それによってアメリカ
は、自らの地位(=覇権国家の地位)を失う」といっている。 

これは、まさにその後起こったことです。

では、なぜアメリカは、大きな間違いを犯してしまったのでしょ
うか?


<それは、この国が、「確実なものが存在する」という間違った
考えと強い使命感を持つ過激派グループに牛耳られているためだ。
>(同前)


ソロスの意見では、ブッシュ(子)政権(=ネオコン政権)は、

「過激派グループ」だそうです。


そして、08年1月、ソロスはダボス会議でこんな発言をし、世界
を震撼させました。


「現在の危機は、ドルを国際通貨とする時代の終焉を意味する!」


皆さんご存知のように、「リーマン・ショック」から世界的危
機が起こったのは、その8カ月後、08年9月です。

ソロスは、「予言者」としての地位を確固たるものにしました。

 

▼ソロスは、「親中」だった

 

次に、ソロスの中国に関する発言をみてみましょう。

知らない人は、かなり驚くと思います。

彼は、06年に出版された本「世界秩序の崩壊~「自分さえよけ
れば社会」への警鐘」の中で、アメリカと中国についての考え
を明らかにしています。


<ところが、ここに、皮肉にも愚かな事態が起きた。

近隣の大国・中国が基本的に多極主義を受け入れ始めた矢先、
アメリカ合衆国が正反対な方向へと動き、国際的な諸制度への
疑念を強め、最近の国家安全保障面での難題に対して大幅に一
極主義的な治療策を遂行したのである。

日本は、この両国の板挟みになった。

かたや最大のパトロンかつ保護国ながら、昨今益々世界の多く
の国々との折り合いが悪くなってきたアメリカ。

かたやその経済的繁栄を持続させ確保すべく国際的システムに
おいて安定と現状維持を志向しつつある中国。>(9p)

 

ソロスによると06年当時のアメリカは、

「昨今益々世界の多くの国々との折り合いが悪くなってきた」

国である。


一方、中国については、

「経済的繁栄を持続させ確保すべく国際的システムにおいて
安定と現状維持を志向しつつある」国。


06年時点のソロスの、「米中観」は明確です。

つまり、彼は、「アメリカ=悪」「中国=善」と考えていた。

この評価は、2010年時点でも変わっていません。

彼は2010年11月16日の「フォーリン・ポリシー」で、


<アメリカから中国への、パワーと影響力の本当に驚くべき、
急速な遷移があり、それはちょうど第二次世界大戦後の英国
の衰退とアメリカへの覇権の移行に喩えられる>

<今日、中国は活発な経済のみならず、実際に、アメリカよ
りもより機能的な政府を持っている」という議論を呼ぶであ
ろう>


と語りました。


つまり、彼は当時、「イギリスからアメリカに覇権が移った
ように、今は、アメリカから中国に覇権が移動している」と
考えていた。

さらに、中国は「アメリカよりも機能的な政府を持っている」
と。

これも、本当に驚きです。

というのは、ソロスは、「オープン・ソサイエティ」、つま
り「開かれた社会」をつくりたいのでしょう?

だから、彼の財団は、世界各地で独裁国の民主化勢力を支援
している。

ところが、共産党一党独裁国家、基本的人権の存在しない、
「開かれていない社会」である中国だけは、完全に例外扱い。

それどころか、大絶賛している。

 

▼反中に転じたソロス

 

「アメリカから中国に覇権が移っている」

「それは悪いことではない」


と考えていたソロス。

しかし、彼の中国への「期待」は裏切られます。

08年9月からの危機で、中国は「一人勝ち」状態になった。

それで増長し、傲慢にふるまうようになってきた。


2012年、習近平がトップになり、「中国の夢」とかいいはじめ
たとき、ソロスは、「うわ~~~、こりゃダメだ!」と思った
ことでしょう。

これまで見てきたように、ソロスは、一党独裁でも「グローバ
リズム」にさからわない限り寛容である。

しかし、「中国の夢」とか、ナショナリズム全開のスローガン
には我慢できないのです。


2016年1月、世界的投機家ジョージ・ソロスは、また爆弾発言
をし、世界を仰天させました。


<ソロス氏:中国のハードランディングは不可避、株投資は
時期尚早(2)

Bloomberg 1月22日(金)9時54分配信

ブルームバーグ):著名投資家ジョージ・ソロス氏は21日、
中国経済がハードランディングに直面しており、こうした状
況は世界的なデフレ圧力の一因になるだろうと述べた。

同氏はまた、中国情勢を考慮して、自分は米株の下落を見込
んだ取引をしていると説明した。

ソロス氏はスイス・ダボスでのブルームバーグテレビジョン
とのインタビューで、

「ハードランディングは事実上不可避だ」と指摘。


「私は予想しているのではなく、実際に目にしている」

と語った。>


これで世界の投資家は、「嗚呼、ソロスは、中国を見捨て
たのだ」と判断しました。

 

▼ソロスは、トランプをどう見ているか?

 

さて、ソロスは、トランプをどう見ているのでしょうか?

ここまで読まれた皆さんには、想像がつくことでしょう。


<トランプ氏で市場は低迷へ、政策は失敗すると確信=ソロス氏

ロイター 1/20(金) 8:42配信

[19日 ロイター] -

著名投資家ジョージ・ソロス氏は19日、ドナルド・トランプ
期米大統領の政策が不透明な点を考えると、世界の金融市場は今
後低迷するとの見通しを示した。

ソロス氏はブルームバーグに対して「現段階で不確実性の度合い
は最高潮に達しており、こうした不確実性は長期的な投資家の敵
だ。

だから市場が順風満帆な局面を迎えられるとは思わない」と語っ
た。>

 

トランプの政策が不透明なので、金融市場は低迷するそうです。


<トランプ氏の政策についてソロス氏は、規制緩和や減税といっ
た市場の希望がかなった半面、国境税や環太平洋連携協定(TP
P)脱退などの提案が米国の経済成長にどういった影響を及ぼす
のかが不明だと指摘。「トランプ氏が実際にどう動くかを正確に
予測するのは無理だ」と言い切った。>(同前)

 

ソロスによると、トランプの政策のうち

規制緩和、減税 = 善

・TPP脱退、国境税 = 悪

だそうです。


<米大統領選では民主党クリントン候補を応援して多額の選挙
資金を提供したソロス氏は

「個人的にはトランプ氏は失敗すると確信している。

それはわたしのように失敗を望む人がいるからではなく、彼の考
えが本質的に自己矛盾をきたし、そうした矛盾が既に周囲のアド
バイザーや閣僚候補によって体現されているからだ」

と述べた。>(同前)


ソロスがいうに、トランプは「自己矛盾しているので失敗する」
そうです。

「自己矛盾」が何かは、わかりませんが。

ソロスは、「トランプは、自己矛盾している」と考えている。

いずれにして、トランプが、ソロスや、彼の属する「国際金融
資本サークル」に嫌われているのは確かなようです。

こうした動きを見て、習近平が、ダボスで「グローバリズム
対支持!」演説をしたことは、既にお伝えしました。


トランプ大統領誕生で落胆したソロスは、また中国の方になび
きはじめています。


<ソロス氏は、中国が重要な輸出市場である欧州の統合に関心
を持っていると指摘。

習近平国家主席は中国を社会的にもっと開かれた状態にするこ
とも、もっと閉じられた状態にすることも可能だが、中国自体
はより持続的な経済成長モデルに向かうだろうと語った。>

(同前)


「おい!ハードランディングの件はどうなってるんだ!」

と思うのですが。


世界で起こっていることを簡潔に書くと以下のようになります。


ナショナリスト・トランプは、国際金融資本家に嫌われている。

そのことを知った習近平は、ナショナリストをやめて、グロー
バリストになる「フリ」をはじめた。

国際金融資本は、悩んでいる。


日本政府はこうした世界の動きを知り、トランプとも国際金融
資本ともうまくやっていくべきです。

 

新版 ソロスの錬金術

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