▼頭が良ければ金持ちなのは当然か?

If You're So Smart, Why Aren't You Rich?
https://goo.gl/l1fOjw

By フェィエ・フラム

子供が生得的にもっている知性は、
将来の成功をどれほど約束してくれるのだろうか?
経済学者のジェームス・ヘックマンは、
この答えが意外なものであると述べている。

彼は教育を受けた科学者以外の人々、
とりわけ政治家や政策担当者のような人々に、
人々のIQはどれだけ収入に
影響を与えるのかを質問するのだが、
彼らの答えはそのほとんどが25%ほどだといい、
ときには50%と答える人もいるという。

ところが実際の検証データによると、
その結果は1%から2%ほどだという。

よって、もしIQが人生の成功における
わずかな要因としかならないのであれば、
低収入者と高収入者との間を分けるものは何か
ということになる。というか、よく言われているように
「頭がよければ金持ち」ではないのだろうか?

この点に関して、科学は明確な答えをもっていないが、
もちろん「運」がそれなりの要因となっているのは確かであろう。

しかしヘックマンたちが先月ある専門誌
(the Proceedings of the National Academy of Sciences)
に掲載した論文によれば、
別の重要な要因として挙げられるのは「性格」であり、
収入面での成功はその人の「誠実さ」(conscientiousness)、
つまり勤勉さや我慢強さ、
それに自律的実行力によるものという結果になったという。

この結論は、彼の研究チームが
それぞれ異なる四つのデータ群を
検証した結果によるものであり、
これには英・米・蘭の数千人の人々の
IQテストの結果や標準化テスト、学校の成績、
それに人格検査などが含まれるという。

データの中には人々を数十年間追跡したものもあり、
収入だけでなく、肥満指数や犯罪歴、
さらには自己申告的な形での
人生の満足度についてのアンケートなども含まれる。

この研究でわかったのは、
学校の成績や標準化テストの結果のほうが、
単なるIQのスコアよりも
大人になってからの成功を予測する上で
よい指標となったということだ。

これらは同じことを計測しているだけじゃないか
という疑問も出るが、実際は違うという。

たとえば学校の成績は
IQで計測されるような知性だけではなくて、
ヘックマンがいう「非認知的スキル」
(non-cognitive skills)というものが反映されているという。

これは我慢強さ、良い勉強の習慣、
そして共同作業を行う能力ということであり、
結果としてこれは「誠実さ」だというのだ。
これはテストのスコアにも言える。
つまり「性格」が重要なのだ。

2000年にノーベル賞を共同で受賞しており、
シカゴ大学の人間発達経済学センターの
創設者であるヘックマンは、
「成功」は生得的な能力よりも、
教育によって身につけることのできるスキルによって決まる
と考えているという。

彼自身の研究が示唆しているのは、
子供時代の干渉というものが役立つものであり、
IQよりも誠実さのほうが影響を受けるというのだ。
好奇心を含む「オープンさ」も、
テストの成績や学校の成績に関係を持つという。

もちろんIQも重要である。
IQ190の人にとって簡単なものは
IQ70の人にとって簡単というわけにはいかないからだ。

ところがヘックマンは、
多くの人が労働市場で自分の売り込みに失敗するのは、
知性的な面を計測するテストでは測れないスキル
に欠いているからだという。

たとえば彼らは就活において
どのように礼儀正しく振る舞えばいいのかを知らないという。
遅刻したり、きちんとした服装ができなかったりするからだ。
もしくは仕事において最低限のことしかやらない、
などである。

同論文の共同執筆者である
ジョン・エリック・ハンフリーズは、
この研究によって人間の「能力」の複雑性や、
その誤解されやすい性格というものが
より明確になればいいと考えているという。

IQテストというのは生得的な問題解決能力を
計測するようにデザインされたものだが、
実際はそれ以上のものを計測していると見られている。

ペンシルバニア大の
心理学者アンジェラ・ダックワースは、
IQテストのスコアは被験者のやる気や
努力の姿勢などを反映するという。
勤勉でやる気のある子供は、
同じ知性を持ったやる気のない子供たちに比べて、
難しい問題に対しても
真剣に取り組む傾向があるからだ。

学校で人格や性格を教育するのは簡単ではない。
たとえば一つの特質が常に他の特質よりも良いかどうかは
判断がつきかねる部分がある。

もちろんIQが高いほうが誠実である
というのはあるかもしれないが、
人格の研究者たちは、子供の特質に関しては
その間をとるアプローチが最適であると示唆している。

つまり子供たちだって、何も喋ることができない
内向的な人間になりたくない場合や、
おしゃべりし続けて何も聞かない
外向的な性格になりたくない場合があるからだ。

これが経済にどのような関係があるのだろうか?

ヘックマンによれば
「われわれの究極の目的は人生をより良いものにすること」
であり、それを良くする大きな決定要因の一つが
スキルに集約されるという。

さらに今月刊行される専門誌
(Nature Human Behaviour)に発表された最新の研究では、
成功を最も疎外する要因について焦点を当てている。
それは「苦労」である。

1000人以上のニュージーランドの人々を
30年以上追跡したその研究では、
言語や行動スキル、それに認識能力などを
考慮したテストを行えば、
まだ3歳の時点でも誰が将来生活保護を必要としたり、
犯罪を犯したり、慢性的に病気になったり
しやすいのかが予測できるという。

この論文の主要著者であり
デューク大学の心理学者テリー・モフィットは、
自分たちの研究によって人々の間に恥辱ではなく、
同情や助けが生まれればよいと思っているという。

また、彼女たちの研究結果は、
おむつが取れるまえに
子供に特定のスキルを教え込むことは
すべての人々にとって役に立つものであると示唆している。

 

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