人間にとって成熟とは何か

曽野さんに、あなたの本を読んで「癒されました」とか、「救われました」なんて言うと「何を甘ったれてるの!」って叱られそうですが、本当になんていうか許されたような気がしました。タイトルだけでも箴言集のような価値があると思います。

第一話  正しいことだけをして生きることはできない
第二話  「努力でも解決できないことがある」と知る
第三話  「もっと尊敬されたい」という思いが自分も他人も不幸にする
第四話  身内を大切にし続けることが出来るか
第五話  他愛のない会話に幸せはひそんでいる
第六話  「権利を使うのは当然」とは考えない
第七話  品がある人に共通すること
第八話  「問題だらけなのが人生」とわきまえる
第九話  「自分さえよければいい」という思いが未熟な大人を作る
第十話  辛くて頑張れないときは誰にでもある
第十一話 沈黙と会話を使い分ける
第十二話 「うまみのある大人」は敵を作らない
第十三話 存在感をはっきりさせるために服を着る
第十四話 自分を見失わずにいるためには
第十五話 他人を理解することはできない
第十六話 甘やかされて得することは何もない
第十七話 人はどのように自分の人生を決めるのか
第十八話 不純な人間の本質を理解する

私が一番うなずいたのは震災後のボランティア精神絶賛や共助精神の高揚。日本全国「絆」絶賛への違和感と、震災瓦礫受け入れ拒否と福島県民差別のひずみでした。

被災地へボランティアに行く人々の偽善性には薄々感づいていましたが、震災瓦礫の受け入れ拒否をヒステリックに叫ぶ人々と顔が重なっているように思えるのです。自分たちの土地にがれきを受け入れることが出来ない精神性こそが、今の日本人の正体であると思いました。よくぞ言ってくれたなあと思ったものです。

最近は日本大好き!みたいな風潮が多いですが、それは単純に日本人が幼稚になってきたということの証左でしかないことがよく分かりました。

この本をもっともっと多くの人に読んでほしいです。そして、沸々と怒りが湧いてきたり、自分自身が侮辱されているように感じたならば、未熟であることを悟り成熟に向かう糧としていただきたいと思うのです。

曽野さんの各お話は非常に相互連関しています。この一冊に込められた思想の高貴さを私は表現しきれませんが、クリスチャンの思想は東洋の真髄とも言われる、論語易経と非常に近いのだなあと思わされました。

しかし、古典ではなく現代を生きる長老の言葉は、もっと直截に我々の心を揺さぶるのだと思います。ベストセラーになっているのは、得心行く人も怒る人も共に心底を見抜かれたと感じたのではないでしょうか。

野田聖子議員の事についていえば、私自身は曽野さんはお優しいと思いました。私は、産むべきではなかったと思っています。野田さんは、節するという美徳と諦念という美徳を喪失した日本人の象徴だと思います。