「ユニバーサルvsローカル」というジレンマ

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├ 2013年06月07日 「ユニバーサルvsローカル」というジレンマ
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おくやまです。

前回は大阪市の橋下市長の問題発言騒動をネタにして、
なぜ「戦略の階層」から考えたら橋下市長に勝ち目はないのか、
という点までお話させていただきました。

これについて私がさらに気になったのは、
「ユニバーサルvsローカル」という価値観の対立です。

これについては以前に少しブログに書いたことがありますので、
それを一部修正したものをここに載せておきたいと思います。

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この「ユニバーサルvsローカル」という価値観のジレンマというのは、
明治以来の日本特有の悩みといえばそれまでです。

たしかに日本は「和魂洋才」ということで日本的な価値観(魂)を忘れずに、
手段として西洋のやりかたやシステムを導入してきました。

ところがこのような新たなシステムの導入というのは、
そもそも「世界観」が異なるわけですから本当に大変です。

たとえば西周の西洋概念の日本語(漢文)化からはじまって、
伊藤博文の「大日本帝国憲法」、
山県有朋の「主権線/生命線」、
対華21ヶ条要求の断念、
第二次大戦中の「大東亜共栄圏」、
それに戦後の国連システムやブレトンウッズ体制、
バーゼル合意(BIS規制)、
さらには国際スキ─連盟や国際柔道連盟のルール変更や、
京都議定書やCO会議でのCO2の排出権の取引など、

ユニバーサル(グローバル)な価値観と日本側のローカルな価値観の利害衝突において、
明治以来の日本のエリートや知識人たちは、常にこのジレンマの間で悩まされてきました。

ところが日本以外の国々は基本的に「ケンカ慣れ」しておりまして、
しかもこの価値観の操作がうまかったりするわけです。

たとえば何か「ローカルな問題」が起こったとしても、
それをうまく「グローバル化」した形で弁護したり、逆に相手を非難する場合に使うという点で、
日本にはるかに勝る発信力を持っております。

だから日本は、外交的にも「してやられる」ことが多いと感じるわけです。

===

ではそれに対抗するにはどうすればいいのかというと、
まず参考になるのが最近の北京政府の例。

北京政府のうまさは、例えば、アメリカ連邦議会が数年前まで
毎年中国国内の人権侵害の様子を報告する文書を発表していたことに対抗する形で、
なんとアメリカ国内の人種差別をはじめとする人権侵害の報告書を発表しました。

これはつまり、「あんたら偉いこと言っているけど、自分のところも一緒じゃないの?」という、
いわゆる「ブーメラン効果」を狙ったもの。

その結果、米政府側はこの案件について
(もちろん米国の中国経済への依存度が上がったという理由もありますが)
あまり厳しく言及しなくなったのは周知の通り。

これと似たようなことは、冷戦時代の旧ソ連もやっておりまして、
アメリカ国内で黒人の公民権運動が60年代半ばから解決に向かったのは、
東側勢力がアメリカ国内にまだ人種差別が残っていることを指摘して
共産主義の価値観の優位を説き、
それにたいしてアメリカの上層部が危機感を覚えたから解決が進んだという一面があります。

ところが、日本側はどうもローカルな問題(竹島尖閣事案、慰安婦問題など)
が発生した時でも、なぜか「うちらの特殊事情です」と言ってがんばってしまう傾向が強い。

言い換えれば、日本はかたくなに「ローカルな価値観」に引き込もってしまうわけで、
これでは「グローバルな価値観」で攻めてくる対外勢力にたいしてなんの戦略的効果も見込めません。

なぜなら「ローカルな価値観」というのはあくまでも「ローカル」なわけですから、
味方を得ることができずに孤立化するばかり。

向こうが「グローバルな価値観」でくるなら、好き嫌いは別として、
こちらも「グローバルな価値観」を逆に活用して対抗して、
他の国々を巻き込む形で共闘関係を築いておかないとマズいわけです。

  • :-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-

ところが、このような「ユニバーサルな価値観による対抗策」を
日本側が考えたり実行したりしようとする場合にネックとなるのが、
日本で「ローカルな価値観」を最高のものと位置付けて信奉している人々。

彼らの信奉する「ローカルな価値観」というのはたしかに大事ですし、
私も個人的にはこれに深い尊敬を感じています。

ところが戦略的に考えると、ローカル主義者たちがやっているように、
このような「ローカルな価値観」をそのままストレートに主張してもダメ。

ではどうすればいいのかというと、この「ローカルな価値観」を、
あたかも「ユニバーサルな価値観」に合致するものであるとして、
「ユニバーサルな皮」をかぶせた形で発信することです。

適当な例かわかりませんが、それを別の形でなんとかうまくやったのが、
新渡戸稲造の『武士道』だったのかと。

彼は「武士道」というローカルな価値観を、
キリスト教やヨーロッパの騎士道という「ユニバーサルな価値観」
にあわせて発信したからです。

  • :-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-

思うに、この対立に関する問題は、
他にも根本的な面で二つの大きな要因があります。

一つは、日本がまだパワーを持っている「準大国」であるにもかかわらず、
自分の強さを自覚していないこと。

日本はGDP比でいえばまだ世界でも第三位の「勝ち組」であり、
デフォルト状態でもその成功を妬まれやすく、
しかも(無意識ですが)その影響力は意外と強いため、
周辺国に恐怖を感じられやすい状況にあります。

そして二つ目は、国連を(形式的には)頂点とする国際システムの中で、
日本の立場は相変わらず「敵国条項」が適用されている「敗戦国」だという点です。

これは前回の私のエントリーでも触れた通りです。

ではどうすればいいか。

結論として私が強調したいのは、
日本は自分たちが徹底的に価値観の面ではローカル側に立つ「弱者」であり、
そのためには自分たちのもつ「ローカルな価値観」というものを、
「ユニバーサルな価値観」にくるんで使わないと負ける、
という事実を自覚すべきであるということ。

そして、そのためには、
「抽象度の高い思考」ができる人材を育成することが急務であり、
日本のリーダー層に、そのような人がもっと増えることが必要です。
私がこれまで強く提唱している「戦略の階層」で言うと、
より上位概念である「世界観」「政策」「大戦略」
といったレイヤーで思考や議論のできる人を増やす、
と言えばわかりやすいでしょうか。

今回、お話してきたように、
国際情勢をより深く理解するには、
抽象的概念を駆使して思考することが必須なのですが、
そのベースとなるものとして、私は「地政学」や「リアリズム」の理解が
不可欠だと確信しております。

これからも、この点をより分かりやすく
読者の皆さんに伝えてゆきたいと思います。

また、地政学を解説するCDなども作っておりますので、
ぜひ一度お聴きになってみて下さい。

→ http://www.realist.jp/geopolitics.html

( おくやま )

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GHQ,マッカーサーが日本に上陸したとき、あまりに何もない
貧しい国であることに驚きました。

なぜ、日本だけが、イギリスもドイツもできなかった機動部隊をつくり
米国と太平洋上で戦争ができたのか?

それは日本人の精神や積み上がった学問だと悟ったマッカーサー
日本にある有益な図書7,000冊以上を焚書します。
指定図書の研究、回収は、静かに、極秘に行われました。

そこには、日本人の精神をささえてきた歴史の本の数々から、
アメリカ研究や資源研究の本、そして、
戦略にかかわる本、地政学の書籍もありました。

戦後日本では地政学は勉強できません。
大学で専攻できる学部、学科はありません。

今回、英国で学んできた地政学を奥山真司先生が
禁断の学問・地政学を復活させるつもりで、語り尽くします。
ついにやります。

「奥山真司の地政学講座」
詳しくはこちらから
http://www.realist.jp/geopolitics.html

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第二次大戦時、米国と日本は世界一と二位の宿命の対決を演じました。

結果は日本の完敗。
戦史を振り返るに洋上戦での「たら、れば」論争などもあり、
日本が米国に勝てないまで、引き分けまでには持ち込めたはずだ、
という話もあります。

その戦史を振り返った時、最終的に米国の大勝利をもたらした、
その影には、恐るべき米国の「累積戦略」があった、
ということはあまり知られていません。

日本を奈落の底に突き落とした米国の「累積戦略」を、
個人に置き換えて発想するとどうなるのか?
ということを徹底解説しました。

▼目標設定して段階的に表からアタックしていく見える戦略「順次戦略」

▼いつ結果がでるかわからないが、黙々と実行を重ねる見えない戦略「累積戦略」

この2つの戦略をどう使うべきか?

詳細は、下記URLをご覧下さい。

▼「累積戦略と順次戦略」を徹底解説!
「Cumulative & Sequential Strategy」
〜クワイエットを読み解く:引きこもりが勝利する時代〜

→ → http://www.realist.jp/cumseq.html

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あなたには、
自分が理想と考える政策がすべて一致する
そんな政治家はいるだろうか?

公明党に対する創価学会員や、
共産党に対する赤旗読者以外には、
正直なところ、なかなかいないというのが実態だろう。

自由社会である日本において、国民みんなの価値観が違う。
では、どこで判断するか?

その点は、「戦略の階層」で考えていただきたい。
自分の「戦略の階層」と近い「階層」をもつ政治家は誰か?
そしてその政治家の実行力はどうか?
その点から考えていただきたい。

→ → → http://www.realist.jp/strata.html

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