★安倍さん、ロシア訪問の成果は?

★安倍さん、ロシア訪問の成果は?


全世界のRPE読者の皆さま、こんにちは!

北野です。




皆さんご存知のように、安倍総理がモスクワにこられました。

そして、昨日(4月29日)、プーチンと会談。

成果はどうだったのでしょうか?


北方領土は?


首脳会談の成果を見てみましょう。


産経新聞4月30日付<日露首脳会談 共同会見要旨>から。



<【北方領土問題】 


安倍晋三首相 

今回の会談で平和条約交渉を再スタートさせ、加速化させることに
合意したことは大きな成果だ。

日露間の最大の懸案に直接取り組み、解決に全力を挙げる。

プーチン大統領と個人的信頼関係が生まれた。

一気に解決する魔法のつえは存在しない。

双方の立場に隔たりは大きいが、腰を据えて今後の交渉に当たって
いく。 



プーチン大統領 

問題が明日解決することはあり得ないが、作業を進めることを期待
する。

私たちが真に問題を解決したい。 >




「平和条約交渉」(あわせて領土交渉)

を「再スタート」させることで合意したそうです。


「なんじゃそりゃ!」


という感じですね。

しかし、これは予想されていた展開であります。


プーチンは、「ひきわけにしたい」といった。

それで日本側は、「ついに北方領土がかえってくる!」と勝手に
盛り上がっていた。

これについてRPEは、


プーチンが4島返せば、『引き分け』ではなく、日本『完勝』、
ロシア『完敗』ではないか。

『引き分け』の意味は、1956年の『日ソ共同宣言』に基づいて

『二島返還』で決着をつけるという意味。

日本は『4島一括返還』が国是なので、領土問題の進展はあり
得ない!」


と書いてきました。


(●詳細は↓
http://archive.mag2.com/0000012950/20130126153045000.html
2013/01/26
プーチンは、北方領土ばかりでなく、全千島・南樺太も返してくれる?)



そのとおりになったのです。



▼エネルギー分野は?


次、エネルギー分野。



<【エネルギー】 

首相 

エネルギー分野は日露経済協力の柱の一つだ。

日本への天然ガス輸出拡大はロシアにとって市場拡大、日本にとっ
て調達コストの低減につながる。 



大統領 

ロシアのエネルギー資源は拡大する日本のエネルギー需要を満た
すことができる。天然資源の共同開発もあり得る。>(同上)



はっきりいうと、日ロ両国が「WIN−WIN」になれるのは、この分野だ
けな気がします。


以前も書きましたが、プーチンの苦悩は深まるばかり。

理由は、アメリカ発「シェール革命」です。

これで、「世界には、オイルもガスもほとんど無尽蔵にある!」とい
うことになってしまった。

もはや、「原油の枯渇」「天然ガスの枯渇」を心配する人はいなくな
っています。


そして、実害も出てきている。

毎日新聞3月20日



<米国産シェールガスの生産が本格化し、米国向けだったカタール
産LNGが欧州市場へ振り向けられるようになった。

その結果、ガスプロムの欧州向け輸出量は昨年、前年比7・4%減
少。

極東でのLNG施設の整備は、日本のほか中国や韓国を含めたア
ジア向けの供給拡大への布石だ。>




最大のお得意・欧州が、ロシアからのガス輸入量を減らしている。

ロシアは減った分、どこかに売らなければならない。

真っ先に思いつくのは、隣国・中国。

ところが、商売人の中国は、ロシアの厳しい事情を知っていて、

「激安で売りやがれ!」と圧力をかけつづけている。

どうにもこうにも、価格交渉がまとまらないのです。



一方日本はどうか?



< 日本の11年度のLNG輸入量は8318万トン。

このうちカタールなどの中東産が約3割を占める。

ロシアは、マレーシア(18%)、豪州(16%)に続く9%にとどまる。

中東諸国は産油国でもあることから、原油連動で輸入価格を設定。

シェールガスの登場で生産が急拡大した米国市場でLNG価格が
大幅に値下がりしていながらも、中東依存度の高い日本は、

高値での輸入を余儀なくされている。>(同上)
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シェール革命でLNG価格が下がっているのに、日本は異常な高値
で買わされている。

これが、「貿易赤字増加」最大の原因になっています。

大問題なのです。


ここに、日ロ両国がWIN-WINになれる構図が見えてきました。


1、日本は高値でLNGを買わされている

2、ロシアは、欧州向けガス輸出が減って困っている

3、ロシアはその分をどこかに売らなければならないが、中国は
値段にうるさいので儲からない



つまり、日本もロシアも双方儲かる価格での取引が可能というこ
とになります。

(日本はLNG、中国はパイプラインによる輸入なので、単純比較
はできませんが・・・。)



これに関連して毎日新聞4月29日



<中でも日本の経済界が期待するのは、ロシア産液化天然ガス(L
NG)の輸入拡大だ。

ロシアは欧州向けガス輸出が低迷し、アジアへの供給を増やしたい。

米国から割安なシェールガスの輸入を計画している日本は、調達
先を多様化して価格交渉力を高め、割高な輸入価格を引き下げるシ
ナリオを描く。

 当面は、ロシア国営ガス会社「ガスプロム」と伊藤忠商事などが計
画しているウラジオストクLNG基地からの輸出案件などが焦点とな
りそう。

日本は、米国のシェールガス対日輸出許可の動向もにらみつつ、
ロシアからの調達規模や価格などの交渉を本格化する。>



▼二国関係は?


最後、二国間関係全般。



<【2国間関係】 

首相 

外務・防衛閣僚による2プラス2会合の立ち上げに合意したが、両
国の安全保障・防衛協力の水準を抜本的に高めるものとなること
を期待する。

2014年の大統領の来日を招請する。 


大統領 

非常に詳細に日露の協力関係について話し合いができた。

特に重視したのは経済協力だ。 >

産経新聞4月30日)




<外務・防衛閣僚による2プラス2会合の立ち上げに合意したが、両
国の安全保障・防衛協力の水準を抜本的に高めるものとなることを
期待する。>



これは、エネルギー分野以上に重要ですね。

ロシアが日本との関係改善を目指すのは、「経済的理由」。

しかし、日本がロシアとの関係改善を願うのは、「安全保障」が最大
の理由です。



こちらをごらんください。



<海自艦へのレーダー照射、中国共産党が指示 「砲身向け威嚇」
も許可

産経新聞 4月24日(水)7時55分配信

 尖閣諸島沖縄県石垣市)北方海域における中国海軍艦艇によ
海上自衛隊護衛艦へのレーダー照射が、中国共産党中央の指
示によるものだったことが23日、分かった。

複数日中関係筋が明らかにした。

党中央から威嚇手段の検討を指示された中央軍事委員会が、レ
ーダー照射に加え、「火砲指向」も提示。

党中央はいずれも実施を許可していた。

海自側は、レーダーに続き火砲も向けられれば中国側の攻撃意図
を認定せざるを得ず、一触即発の事態となる恐れもあった。>




これはつまり、「挑発して日本から撃たせよう」ということでしょう。

撃ってきたら、「日本が中国を攻撃した!真珠湾と同じだ!」

と世界的にプロパガンダし、戦争をはじめるつもりなのです。


つまり、「中国は、日本と戦争する準備ができている」ということにな
ります。


だから日本は、「歴史の見直し」なんていってる場合じゃないんです
よ。


(@「歴史の見直し」の「歴史」とは、「アメリカが書いた歴史」のことであ
る。

「歴史」を見直せば、これまでの「日本は極悪」「アメリカは完全善」で
はなく、

「日本は善」「アメリカは極悪」にかわる。)



アメリカ、そして、欧州、インド、(中国と南シナ海で争っている)東南
アジア諸国、オーストラリア

などを味方にするために、努力していく必要がある。


しかし、「ロシアがどっちにつくか?」も非常に大きな意味があります。

なぜか?


アメリカは、中東→ 中国の原油の流れをカットできるでしょう?

でも、陸続きのロシア→ 中国の原油・ガスの流れをカットできます
か?

できません。



そして、中国はロシア製の兵器で武装している。



さらに、国際世論がらみで、中国・ロシアは国連安保理で拒否権
をもつ常任理事国です。


しかし、ロシアが、中国を離れれば?

国連安保理常任理事国は、


アメリカ、イギリス、フランス、ロシア  対  中国


となり、中国は国際的に孤立します。


というわけで、「日本は中ロ分裂を」というのは、とてもとても大事
なことなのです。




<外務・防衛閣僚による2プラス2会合の立ち上げに合意したが、両
国の安全保障・防衛協力の水準を抜本的に高めるものとなることを
期待する。>



どんどん交流したらいいですね。

日ロ共同軍事演習をバンバンやったらいい。

経済もですが、軍事面での交流も大切です。



▼で、安倍さん訪ロの成果は?


「領土問題も『ふりだし』みたいだし、全体的になんかスッキリし
ないよな〜〜〜」


こんな感想をお持ちの方もいるでしょう。


しかし、メドベージェフが大統領だった08〜12年のことを思い
出してください。


真っ先に頭に浮かぶのは、「北方領土訪問」でしょう。


それで、日ロ関係は、最悪になっていた。


なんやかんやいっても、プーチンは、「日ロ関係改善」に乗り出し
ました。



<日露首脳会談で29日、両首脳や外相レベルの接触を頻繁に行う
ことで合意した背景には、

関係改善に向けたプーチン大統領の強い意志が働いている。>
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産経新聞4月30日)



<日露関係は2010年、メドベージェフ大統領(当時)が国家元首
して北方領土国後島に初上陸して極度に冷え込み、領土交渉自体
が空転した。

ロシア側では、首相がめまぐるしく代わる日本側に対するいらだちの
声も出た。 


こうした雰囲気が一変したのは昨年のプーチン政権発足からだ。 
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中国の習近平国家主席が訪露して発表された今年3月の共同声明
では、メドベージェフ政権時代の中露共同声明に盛り込まれた「第二
次世界大戦の結果の見直しは許さない」といった表現はなかった。

この文言には、大戦終結時に北方領土を不法占拠したソ連の行い
を正当化する意図が込められているため、間接的な対日批判とみら
れていた。 

ロシアが対日接近を図る背景には、日本の技術力と投資への強い
期待がある。>

(同上)




このようにプーチンは、対日本について、習近平・中国と距離を
おくことを態度で示しています。

これは、日本にとって本当にありがたい。



というわけで、安倍さんは、メド時代の凍っていた「日ロ関係」を
温暖化させた。


それは、特に安全保障面でとても大切なことでしょう。


訪問は「成功だった」といえると思います。


「中国がこわいから」といって、なんでもかんでもロシアに譲歩する
必要はありません。

あくまでも「WIN−WIN」をベースに、両国が儲かる方向で関係を発
展させていけばよいでしょう。





そのためには、プーチンの世界戦略を知っておく必要があります。

完璧に知りたい方はこちら。







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(詳細は→ http://tinyurl.com/8y5mya3 )

プーチン本はいろいろ出ているが、これが独特で面白い。>

立花隆 「週刊文春」2012年7月12日号)