プーチンは、メドベージェフをゆっくり葬る2

プーチンは、メドベージェフをゆっくり葬る2(メドベージェフ
・バッシング)


全世界のRPE読者の皆様、こんにちは!

北野です。

今回は、前号のつづきです。

前号を読んでいない方は、まずこちらから。

http://archive.mag2.com/0000012950/20130421155849000.html
2013/04/21★プーチンは、メドベージェフをゆっくり葬る1前号では、08年〜12年まで大統領だったメドベージェフが、米英に取り込まれ、「プーチンを裏切った」という話をしました。

「裏切った」けれど、プーチンは、メドベージェフを首相に任命した。しかし、プーチンは、メドを許したわけではないのですね。「国民がメドの解任を望んでいる!」「メドの側近が汚職をしている!」「メドの任命した大臣たちが悪いことばかりしている!」等々。


「自分(プーチン)は関係ないけど、仕方なく・・・」という風にもっていきたいわけです。で、今ロシアでは何が起こっているのでしょうか?

▼世論調査は・・・先日(4月21日)、ロシア国営放送RTRの「ヴェスティ・ニデーリ」を見ていました。毎回書いていますが、RTRは国営放送なので、「クレムリンが何を考えているか?」知るのに役立ちます。この番組で、世論調査の結果が出ていました。メドベージェフ内閣について、「期待していたより悪い」と答えた人の数は、2012年7月 = 17% 2013年4月 = 31%

つまり「メド内閣は期待していたより悪い」という人の数が増加している。「メド内閣は、国をよくすることができるか?」という質問に、「はい!」と答えた人の数は、2012年32%から、現在は27%に減少。

逆に、「いいえ!」と答えた人の数は、2012年25%から、現在35%に増加。

つまり、「メド内閣は国をよくできる」と考える人の数が減っている。番組では、「全ロシア世論研究センター」のフョードロフ所長が登場。「世論が変化している理由」を解説しました。メドへの不満の理由・汚職がいっこうに減らない
・産業、農業の崩壊・年金が少ない・高いインフレ率(今年は6〜7%の予想)
・理解不能な教育改革
要は、「全部だめ!」ってことでしょう。

メド内閣の悪口をサンザンいった後、司会者のキシリョフさんは、「プーチンが首相だった頃は、未来を信じる人の割合が高かった!」といいました。

2010年、「プーチン内閣は国をよくできるか?」という質問に、「はい!」と答えた人は、39%、「いいえ!」と答えた人は、24%だった。要するに、「プーチンが首相だったころロシアはよかったが、メドが首相になって、ロシアは悪くなっている」という風に思ってほしいのですね。

番組を見て何がわかるか?国営放送RTRが公然とメドベージェフ首相の批判をしはじめた。これは、クレムリンが「それを許可した」あるいは「指示している」
ということでしょう。

▼メドを批判しはじめた下院

ロシアの民主主義を、プーチンはかつて、「コントロールされている民主主義」とよびました。どういうことか?ロシアの下院には、4党の議員がいます。与党「統一ロシア」。最大野党「共産党」。極右ジリノフスキーの「自民党」。中道左派「公正ロシア」。

このうち、共産党を除く3党は、実質プーチンの支配下にある。だから、この3党は、絶対プーチンを批判しません。プーチンが首相だった時代(08年〜12年)、内閣を批判することはなかった。(個別の閣僚への批判はあったが・・・。)08〜12年、メドは大統領だったわけですが、当時プーチンとメドは
「一体」だと思われていたため、「メド批判」もなかったのです。

しかし・・・。

どうも、プーチンは、支配下にある政党に「メド批判してもいいよ」と許可を出したようです。メドは4月17日、下院で演説したのですが、強い批判にさらされました。メドは2012年の成果を強調します。
GDPは、3.4%成長 (08年の経済危機前と比べると半分の水準)
・インフレ率は6.6%(ロシアではこれでもマアマアだと思われる)
・国家債務は、GDP比10%(これはうらやましい!)
・医療関係者(公務員)の給与は18%増加
・教員(公務員)の給与は20%増加
メドは、「世界的不況下で公務員の給料を上げているのは、俺たちだけだぜ!」と自慢します。しかし、議員たちは、まるでメドの話を聞いていなかったかのように批判をはじめました。極右ジリノフスキーは、「閣僚や官僚に、起こっていることの責任をとらせろ!」「せめて一本ぐらいは、道路を建設してくれ!」などと批判。

レヴィチェフ下院副議長は、「秋にロシア経済がリセッション入りする可能性は高い。そうなったら、私たちは、内閣の信任に関して検討せざるをえない」といいます。つまり、「秋に景気が後退したら、メドに辞職をせまる可能性がある
!」と脅しているのです。閣僚の中で、もっとも評判が悪いのは、「間違った教育改革」」を批判され、ロシア科学アカデミーとケンカしている、教育・科学相リヴァノフさん。そして、「地方病院をドンドン閉鎖している!」と批判されている保健・社会開発相スクヴォルツォヴァさん。

この二人については、統一ロシアを除く3党が「解任」を要求しています。メドは、「批判はもっともだが」と前置きした上で、閣僚を首にすることは拒否しました。繰り返しますが、言論の自由がないロシアで、議員がバンバン首相を批判する。これは、プーチンの許可がなくてはありえないことです。

プーチン自身が、メド内閣を酷評?
4月16日、プーチンがメド内閣を酷評している動画が流出しました。(私は、わざと流出させたと思っているのですが・・・。)

http://www.youtube.com/watch?v=hMH_-vCJyuI
プーチンが何をいってるか要約すると、「(閣僚の)仕事の質はみじめだぜ。すべて皮相的だ。こんな風にやってれば、何も成し遂げられねえ」「このままだと、俺(プーチン)の仕事の効率が悪いのか、おめえら(閣僚)が、みんなロクに働いていねえから、みんな辞めなきゃならねえのか、認めるしかなくなる」「現時点では二番目の可能性(つまり閣僚が悪い)が高いけどな!」このニュースを聞いてロシア人は、「プーチンはメド内閣のことを、こんな風に思ってるのね〜」と理解したのです。(プーチンの報道官は、この動画について、「大統領が批判したのは「閣僚」ではなく、「地方知事」だ」とフォローしている。)

ちなみに、プーチンの意見、多くのロシア国民が共有しています。メドが首相になってから、ロシアの政治は止まってしまったかのよう。なぜかというと、FSB(旧KGB)がバックのプーチンと違い、メドはこわくない。「いうことを聞かなくても大して問題にならないだろう」と閣僚が首相をなめきっているのです。

▼ロシア版「シリコン・バレー」の汚職

さて、最後の話は、汚職について。前号でも書きましたが、メドは、「ブログ」「フェイスブック」「ツイッター」などが大好き。2010年に訪米したときも、まずシリコンバレーに行きました。そんな彼の悩みは、「なんてロシアはIT分野で遅れてるんだ!」ということ。

それで、「よし!ロシア版シリコンバレーをつくっちまえ!」と考えた。「ロシア版シリコンバレー」のことを「スコルコヴォ・イノベーション・センター」といいます。略してSk(スコルコヴォの略)。Skは、メドが大統領時代、もっとも気合を入れていたプロジェクト。Skは、メド時代の象徴なのです。ところが・・・。

4月19日、国からSkプロジェクトに出される資金を管理する「スコルコヴォ基金」のベリトュコフ副代表が起訴されました。理由は、同副代表が、野党議員のポノマリョフさんに「不正資金を渡した疑い」があると。「不正資金」とは、具体的に75万ドル(約7500万円)。渡した名目は、「講演10回分3000万円(!)」「研究費4500万円」。講演料1回は「300万円」。しかし、実際彼が講演したのは「2回」だけ。つまり、一回の講演量は、1500万円(!)ということになります。別に民間だったら問題にならないでしょうが、Skの予算はロシア国民の税金ですからね。しかも、ある講演で彼は、「俺がSkに投資する?するわけないね。Skの連中は、イノベーションこと、全然わかっちゃいないんだ!」と逆宣伝していたことがばれた。これが問題になっている。

しかも不穏なうわさがひろがっています。ポノマリョフさんは、2012年の大統領選挙前盛り上がった「反プーチンデモの中心人物」として知られている。つまり、メドベージェフが、Sk基金の金を、反プーチン議員に渡す。それをポノマリョフはばら撒いて、「反プーチンデモを盛り上げる資金に使った」というのです。あくまでも噂ですが。

要するに、私たちも覚えているあの大規模反プーチンデモはメドベージェフが金を与えて組織した(しかもそれは国の金)~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
という噂。

ホントかどうかわかりませんが、とにかくメド包囲網が着実に形成されていることは間違いありません。
▼メドが解任されるのはいつ?

では、いつメドは解任されるのでしょうか?利用価値があるうちは、解任されないでしょう。(だから、今回の件名は「ゆっくり葬る2」。)

「ロシアの経済状況が悪化し、国民の不満が爆発しそうになったら」そのときは、全責任をメドにおしつけて、解任することでしょう。これを一般的な言葉で、「スケープゴートにする」といいます。ロシアの権力闘争は、こわいのう・・・。

ちなみに、ソ連崩壊後のロシア権力闘争の詳細を山盛り証拠つきで知りたい方は、こちらをごらんください。

「もし、プーチンが日本の首相だったら?」

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(詳細は→ http://tinyurl.com/8y5mya3 )

プーチン本はいろいろ出ているが、これが独特で面白い。>

立花隆 「週刊文春」2012年7月12日号)